近日、当所が代理したある発明特許に係る無効審判審決取消訴訟は一審で、明細書の開示不十分を理由として対象特許の全部無効に成功...
化学分野において、「予想外の効果」を有すると唱える特許の無効化は通常、困難である。本件は、参考になれる無効化戦略を示してい...
無効審判で「衣服用ボタン」の実用新案特許を無効に


実用新案特許請求項の進歩性の有無を如何に判断するのか

概要:無効審判請求人がある金物ボタン有限公司の「衣服用ボタン」である実用新案特許(特許番号は201020137178.8)に対して無効審判請求を提起した。弊所が請求人から依頼され、本事件の無効審判請求の関連業務を代理した。中国特許庁特許審判委員会は「考案が最も近い公知技術に比べて相違点を有するが、この相違点がこの分野の慣用手段であり、かつこの相違点の導入によって予想外の効果を奏することを証明する証拠がない場合、請求項に係る考案は、進歩性を有しないこと」を理由として、本件実用新案権が無効であると審決した。

本事件のポイント:

特許権者は「①証拠1には、凹溝を内面に設ける目的は、前記係止爪の外側に向く平坦な面を変形させないためとのことが開示されている。したがって、当業者は、5本の爪の外面に凹溝を設ける動機づけがない。つまり、証拠1には、本件実用新案と反対する示唆がある。②本件実用新案のヘッド部と5本の爪との結合の密着度は、証拠1の密着度より優れている。③証拠1及び証拠2はいずれも数年前の特許文献であり、いずれも溝条が内面にあることが開示されている。したがって、内面に溝条を設けることは、この分野の技術的偏見であるが、本件実用新案はこの技術的偏見を解消した。当業者は本件実用新案の5本の爪の凹溝により爪の強度を増加し、かつ凹溝が外面に設けられる場合が内面に設けられる場合に比べて緊密度が大きいことを予測できる」と主張した。

弊所は「本件実用新案の明細書の記載及び公知技術に基づき、凹溝が設けられない5本の爪に比べて、本願の凹溝が設けられている5本の爪のほうが緊密度は優れている。しかし、本件実用新案には凹溝が外面に設けられる場合が内面に設けられる場合に比べて緊密度が大きいことが記載されず、凹溝が内面に設けられる場合に比べて、凹溝が外面に設けられる場合のほうが本件実用新案の5本の爪とヘッド部との結合の緊密度が大きいという結論を取得できない」と出張した。特許審判委員会は最終的には弊所の主張を認めて、本件実用新案が予想外の効果を奏してないことを理由として、進歩性を有しないと審決した。

本無効審判では、案件を真剣に研究し、充分準備することが勝利のポイントとなったことがわかる。


ホットリンク:北京魏啓学法律事務所
©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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