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特許出願の秘密保持審査および遺伝資源情報の開示についての 簡単な説明


北京林達劉知識産権代理事務所

2009年10月1日に改正後の中国特許法が施行されて以来、改正後の中国特許法に追加された、外国へ特許出願する前の秘密保持審査および遺伝資源情報の開示に関わる条項は広く注目されている。改正後の特許法実施細則および審査基準が施行されて約半年経過したこれまでの具体的な実務処理の経験に基づき、上述の2つの追加条項について簡単に検討する。

一.秘密保持審査

1.秘密保持審査の範囲

中国特許法第20条と特許法実施細則第8条の規定によれば、出願が以下の場合に該当するときは、秘密保持審査を受けなければならない。

(1) 発明創造の実質的な部分が中国国内で完成したものであるとき。

注:ホンコン、マカオおよび台湾地区(特に、ホンコンとマカオ)で完成した発明創造に対して、秘密保持審査を受けなければならないと明確に規定されていない。しかし、秘密保持審査を請求することをお勧めする。

(2) 出願人が当該技術を外国に特許出願しようとするとき。

なお、秘密保持審査の対象は発明および実用新案のみであり、意匠は秘密保持審査を受ける必要はない。

2.秘密保持審査請求の3つの方法の比較

特許法実施細則第8条に規定された秘密保持審査請求の3つの方法はそれぞれメリットとデメリットがある。プラクティスでは、出願人は計画および必要に応じて適切な秘密保持審査請求の方法を選択することができる。下表に、秘密保持審査請求の3つの方法を説明・比較する。
 
請求方法 適用状況 提出すべき書類 審査期間 メリット デメリット
1.独立請求(秘密保持審査を直接請求する) 外国に直接特許出願するかまたは外国の機関へ国際出願する場合 ①秘密保持審査請求書+②技術の詳しい説明(中国語)+③代理機構の委任状(代理機構に依頼する場合) 法律の規定:4~6ヶ月間
実際の処理:通常、請求日から約1ヶ月後、秘密保持審査の結果を受け取れる。
①中国に特許出願する必要はない。
②官庁手数料は発生しない。
①中国語の技術の詳しい説明を準備する必要がある。
②審査期間は方法2の場合より長い。
2.関連請求(中国特許出願に基づき秘密保持審査を請求する) 中国に特許出願した後に外国に特許出願するかまたは外国の機関へ国際出願する場合 秘密保持審査請求書 法律の規定:4~6ヶ月間
実際の処理:①特許出願と同時に秘密保持審査を請求する場合、受理通知書と同時に秘密保持審査の結果を受け取れる。約1週間の期間が必要である。緊急の場合、当日に審査の結果を受け取れる。②出願が受理された後に秘密保持審査を請求する場合、約1ヶ月後に審査の結果を受け取れる。
方法1と比較すれば、①請求手続きは簡単で、②審査期間は短い。
③出願後に請求した場合でも、優先権を主張できる。
完全な中国出願書類(明細書など)を準備する必要がある。
3.黙認請求(中国で国際特許出願を行う) 中国で国際出願し、当該技術について複数の国に同時に特許出願しようとする場合 なし 法律の規定:1~3ヶ月間
実際の処理:①秘密保持の必要がない場合、中国特許庁は通常、請求日から約20日後にPCT/ISA/202表を発行し、調査書類がすでに国際事務局に送付されたことを通知する。②秘密保持の必要がある場合、中国特許庁は請求日から3ヶ月以内にPCT/RO/147表を発行し、当該国際出願を終了することを出願人に通知する。
①請求の手続きは簡単である。②複数の国での出願権を同時に取得できる。③英語を出願書類の言語として使用できる。 方法1、2と比較して、国際出願の出願手数料は高い。
 

注:方法1の独立請求の方法にいう「技術の詳しい説明」について、中国特許庁には、形式上特に具体的な要求はないが、内容上は発明の主題および内容を完全に記載したものでなければならないと規定されている。

また、プラクティスでは、秘密保持審査請求の方法が選択しにくい場合もある。例えば、中外協力で開発した技術について、出願人はまず外国に特許出願しようとするが、その製品または技術内容が直ちに発表される場合、独立請求の方法で秘密保持審査を請求すれば、通常約1ヶ月の期間が必要なので、間に合わないことになる。そこで、参考までに、以下のような便利・迅速な方法を紹介する。

ステップ1:中国に特許出願すると同時に秘密保持審査を請求する。

ステップ2:通常1週間、緊急の場合には当日に、秘密保持審査の結果を受け取る。

ステップ3:請求料を納付しない方法で当該中国特許出願を自発的に取り下げる。

上述の方法により、秘密保持審査の結果を速く受け取ることができる。また、その中国特許出願について開示されることはないので、出願人に対する影響はまったくない。ただし、この方法では、完全な中国出願書類(中国語)を準備する必要がある。したがって、緊急の場合でなければ採用しないほうがよい。

二.遺伝資源情報の開示

特許法実施細則第26条第1項の規定によれば、特許法にいう「遺伝資源」とは、人間、動物、植物又は微生物に由来し、遺伝機能単位を含有し、かつ実際的な又は潜在的な価値を有する材料をいう。

発明創造が遺伝資源に依存して完成したものである場合、出願人は当該遺伝資源の由来に関する情報を開示しなければならない。具体的には以下の通りである。

(1) 本願に係る発明創造が遺伝資源に依存して完成したものであることを願書に意思表明する。

(2) 「遺伝資源由来開示登録用紙」に当該遺伝資源の名称、採集方法、直接的由来及び原始的由来を明記する。

出願人は遺伝資源の原始的由来を明示できない場合、その理由を説明し、必要に応じて関係証明書類を提出しなければならない。

例えば、遺伝資源の直接的由来がある機構(例えば、寄託機構)の場合、当該機構がその遺伝資源の原始的由来を記録していなければ、出願人は「遺伝資源由来開示登録用紙」に理由(例えば、「当該寄託機構がその遺伝資源の原始的由来を提供できない」)を説明し、当該機構の出した関係証明書類を提出する。

上述の意思表明および「遺伝資源由来開示登録用紙」は、通常、中国特許出願と同時に提出すべきであり、国際特許出願の場合、中国国内段階への移行手続の際に提出すべきである。提出した書類が規定に合致しない場合、中国特許庁は補正通知書を出し、補正の機会を出願人に与える。出願人が出願時に意思表明を行わず、「遺伝資源由来開示登録用紙」も提出しなければ、通常、方式審査部の審査官は方式審査おいてその問題に気づかない。もちろん、当該発明が明らかに遺伝資源に依存して完成したものである場合、方式審査において「遺伝資源由来開示登録用紙」を提出するよう補正通知書を発行される可能性もある。また、実体審査において、実体審査部の審査官がその問題を見つけ、かつ当該発明が遺伝資源に依存して完成したものであると認定した場合、通知書を発行し、「遺伝資源由来開示登録用紙」を提出するよう出願人に命じる。
 
(2010)

ホットリンク:北京魏啓学法律事務所
©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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