中華人民共和国主席令
第62号
「中華人民共和国著作権法」の改正に関する全国人民代表大会常務委員会の決定は、すでに中華人民共和国第13期全国人民代表大会常務委員会第23回会議により2020年11月11日に採択し、ここに公布し、2021年6月1日から施行する。
中華人民共和国主席 習近平
2020年11月11日
中華人民共和国著作権法
(1990年9月7日第7期全国人民代表大会常務委員会第15回会議により採択、2001年10月27日第9期全国人民代表大会常務委員会第24回会議の「『中華人民共和国著作権法』改正に関する決定」に基づく1回目の改正、2010年2月26日第11期全国人民代表大会常務委員会第13回会議の「『中華人民共和国著作権法』改正に関する決定」に基づく2回目改正、2020年11月11日第13期全国人民代表大会常務委員会第23回会議の「『中華人民共和国著作権法』改正に関する決定」に基づく3回目の改正
目 次
第一章 総則
第二章 著作権
第1節 著作権者及びその権利
第2節 著作権の帰属
第3節 権利の保護期間
第4節 権利の制限
第三章 著作権の使用許諾及び譲渡契約
第四章 著作隣接権
第1節 図書及び新聞・刊行物の出版
第2節 実演
第3節 録音録画
第5節 放送局、テレビ放送局の放送
第五章 著作権と著作隣接権の保護
第六章 附則
第一章 総 則
第1条
文学、芸術及び科学的作品の著作者の著作権並びに著作権に関連する権益を保護し、社会主義精神的文明と物質的文明の建設に有益な作品の創作と伝達を奨励し、更に社会主義文化と科学的事業の発展と繁栄を促進するために、憲法に基づき本法を制定する。
第2条
中国公民、法人又は非法人組織の作品は、公表の要否を問わず、本法により著作権を享有する。
外国人、無国籍人の作品がその著作者の所属国若しくは恒常居住地国と中国との間に締結された協議、又は共に加盟している国際条約により享有される著作権は、本法による保護を受ける。
外国人、無国籍人の作品が中国国内で初出版された場合、本法により著作権を享有する。
中国と協議が締結されず、又は共に国際条約に加盟されていない国の著作者及び無国籍人の作品は、中国が加盟している国際条約の加盟国で初出版された場合、又は加盟国と非加盟国で同時に出版された場合、本法による保護を受ける。
第3条
本法にいう作品とは、文学、芸術と科学分野において独創性を有し、且つ一定の形式により表現される知的成果を指し、下記を含める。
(一)文字作品
(二)口述作品
(三)音楽、演劇、演芸、舞踊、曲芸芸術作品
(四)美術と建築作品
(五)撮影作品
(六)視聴作品
(七)工事設計図、製品設計図、地図、見取り図などの図形作品及び模型作品
(八)コンピュータソフトウェア
(九)作品特徴を満たすその他知的成果。
第4条
著作権者と著作隣接権者は、著作権を行使する場合、憲法及び法律に違反してはならず、公共利益を損なってはならない。国家は作品の出版、伝達に対して法により監督管理を行う。
第5条
本法は、下記に適用されない。
(一)法律、法規、国家機関の決議、決定、命令とその他立法、行政、司法的性質を有する文書及びその政府公式訳文
(二)単純な事実情報
(三)暦法、汎用的数表、汎用的表及び公式
第6条
民間文学芸術作品の著作権の保護方法は、国務院が別途規定する。
第7条
国家著作権主管部門は、全国の著作権管理業務の責任を負う。県以上の地方著作権主管部門は、本行政区域内の著作権管理業務を主管する。
第8条
著作権者及び著作隣接権者は、著作権集団管理組織に授権して著作権又は著作隣接権を行使させることができる。法により設立された著作権集団管理組織は非営利法人であり、授権を得た後、自己の名義にて著作権者と著作隣接権者のために権利を主張することができ、且つ当事者として著作権、又は著作隣接権に及んでいる訴訟、仲裁、調停活動を行うことができる。
著作権集団管理組織は、授権に基づき使用者から使用料を受け取る。使用料の請求基準につき、著作権集団管理組織と使用者代表が協議により確定し、協議を経て合意できない場合は、国家著作権主管部門にその裁決を申請することでき、裁決を不服とする場合、人民法院に訴訟を提起することができる。当事者は直接人民法院に訴訟を提起することもできる。
著作権集団管理組織は、資料用の受取と振替、管理費の引出と使用、使用料の未配当部分などの総体状況につき、定期的に社会に公布し、且つ権利情報問合せシステムを構築し、権利者と使用者による問合せのために供しなければならない。国家著作権主管部門は、法により著作権集団管理組織に対する監督、管理を行わなければならない。
著作権集団管理組織の設立方式、権利義務、使用料の受取と分配、及びその監督と管理などにつき、国務院が別途規定する。
第二章 著作権
第1節 著作権者及びその権利
第9条
著作権者には下記を含める。
(一)著作者
(二)本法により著作権を享有する自然人、法人又は非法人組織
第10条
著作権には次に掲げる人格権と財産権を含める。
(一)公表権、即ち作品を公表するか否かを決定する権利
(二)署名権、即ち著作者の身分を表明し、作品上に署名する権利
(三)改変権、即ち作品を改変する、又は他人に授権して作品を改変させる権利
(四)作品同一性保持権、即ち作品が歪曲又は改纂されないよう保護する権利
(五)複製権、即ち印刷、コピー、拓本、録音、録画、ダビング、デュープ、デジタル化などの方式により、作品を1部又は数部製作する権利
(六)発行権、即ち売却又は贈与の方式により、公衆に対して作品の原本又は複製品を提供する権利
(七)貸与権、即ち有償にて他人が一時的に視聴作品、コンピュータソフトウェアの原本又は複製品を使用することを許諾する権利。但し、コンピュータソフトウェアが貸与の主な目的物に該当しない場合、この限りではない。
(八)展示権、即ち美術作品、撮影作品の原本又は複製品を公開的に陳列する権利
(九)実演権、即ち作品を公開的に実演し、並びに各手段を用いて作品の実演を公開的に放送する権利
(十)放映権、即ち映写機、スライドなどの技術設備により、美術、撮影、映画及び視聴作品などを公開的に再現する権利
(十一)放送権、即ち有線又は無線方式により作品を公開的に伝達又は中継放送し、並びに拡声器又はその他符号、音声、画像を伝送する類似手段を通じて、公衆へ作品を伝達放送する権利。但し、本項第(十二)号に定める権利は含まない。
(十二)情報ネットワーク伝達権、即ち有線又は無線方式により公衆へ作品を提供し、公衆が自ら選定した時間と場所にて作品を入手することができるようにする権利
(十三)撮影製作権、即ち視聴作品を撮影製作する方法により、作品を媒体上に固定させる権利
(十四)翻案権、即ち作品を改変し、独創性を有する新作品を作り出す権利
(十五)翻訳権、即ち作品につき、ある言語から他の言語に変換する権利
(十六)編集権、即ち作品又は作品の一部分を選択又は編集することにより新作品として編集する権利
(十七)著作権者が享有すべきその他権利
著作権者は、前項第(五)号乃至第(十七)号に規定する権利行使を他人に許諾し、且つ約定又は本法の関連規定により報酬を取得することができる。
著作権者は、本条第一項第(五)号乃至第(十七)号に規定する権利の全部又は一部分を譲渡し、且つ約定又は本法の関連規定により報酬を取得することができる。
第2節 著作権の帰属
第11条
著作権は、著作者に帰属する。本法に別段規定がある場合、この限りではない。
作品を創作した自然人は著作者となる。
法人又は非法人組織が主管し、法人又は非法人組織の意志を代表して創作し、且つ法人又は非法人組織が責任を負う作品につき、法人又は非法人組織を著作者として見なす。
第12条
作品に署名した自然人、法人又は非法人組織は著作者となり、且つ当該作品には相応する権利が存在する。但し、反証がある場合、この限りではない。
著作者などの著作権者は国家著作権主管部門に認定された登録機構にて作品登録を行うことができる。
著作隣接権につき、前両項を参照して適用する。
第13条
既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理することにより生じる作品の著作権は、その翻案、翻訳、注釈、整理をした者が享有する。但し、著作権を行使するにあたっては、原作品の著作権を侵害してはならない。
第14条
二人以上の者が共同で創作した作品の著作権は、共同著作者が享有する。創作に参加していない者は、共同著作者となりえない。
共同作品の著作権は、共同著作者が協議を経て合意の上行使し、協議を経ても合意せず、且つ正当な理由がない場合、いずれかの一方は相手が他人に専有使用、質入を譲渡、許諾するほかのその他権利を阻止してはならない。但し、取得した収益につき、全ての共同著作者に対して合理的に分配しなければならない。
分割して使用できる共同作品につき、著作者は各自の創作部分に対して単独に著作権を享有することができる。但し、著作権を行使する場合、共同作品全体の著作権を侵害してはならない。
第15条
若干の作品、作品の一部分又は作品を構成しないデータ又はその他資料を編集し、その内容に対する選択又は編成が独創性を体現している作品は、編集作品となり、その著作権は編集者が享有する。但し、著作権を行使する場合、原作品の著作権を侵害してはならない。
映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品の著作権は、映画の製作者が享有する。但し、脚本家、監督、撮影者、作詞家、作曲家などの著作者は、署名権を享有し、且つ映画製作者と締結した契約により報酬を取得する権利を有する。
映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品中の脚本、音楽などの単独で使用できる作品の著作者は、その著作権を単独で行使する権利を有する。
第16条
既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理、編集することにより生じる作品につき、出版、演出を行い、並びに録音録画製品を製作した場合、当該作品の著作権者と原作品の著作権者の許諾を取得し、且つ報酬を支払わなければならない。
第17条
視聴作品の中の映画作品、テレビドラマ作品の著作権は製作者が享有する。但し、脚本作成、監督、撮影、作歌、作曲などの著作者は氏名表示権を享有し、且つ製作者と締結した契約に基づき、報酬を取得する権利を有する。
前項の規定以外の視聴作品の著作権の帰属につき、当事者が約定し、約定をせず、又は約定が不明確な場合、製作者が享有する。但し、著作者は氏名表示権とと報酬取得権を享有する。
視聴作品の中の脚本、音楽などの単独に使用することができる作品の著作者は、単独にその著作権を行使することができる。
第18条
自然人が法人又は非法人組織業務上の任務を遂行するために創作した作品は、職務著作に該当し、本条第二項の規定を除き、その著作権は著作者が享有する。但し、法人又は非法人組織はその業務範囲内で優先的に使用する権利を有する。作品完成後の2年以内に所属企業・団体の同意を得ずに、著作者は第三者に対して所属企業・団体が使用する方法と同様な方法で当該作品を使用することを許諾してはならない。
次に掲げる形態のいずれかに該当する職務著作につき、著作者は署名権を享有し、著作権のその他権利は、法人又は非法人組織が享有し、法人又は非法人組織は、著作者に奨励を与えることができる。
(一)主に法人又は非法人組織の物質的な技術条件を利用して創作し、且つ法人又は非法人組織が責任を負う工事設計図、製品設計図、地図、見取図、コンピュータソフトウェアなどの職務著作
(二)新聞社、雑誌社、通信社、ラジオ放送局、テレビ放送局の職員が創作した職務著作
(三)法律、行政法規の規定又は契約の約定により、法人又は非法人組織が著作権を享有する職務著作
第19条
委託を受けて創作した作品の著作権の帰属は、委託者及び受託者が契約により約定する。契約に明確な約定がなく、又は契約を締結していない場合、著作権は受託者に帰属する。
第20条
作品原本の所有権の移転は、作品著作権の帰属を変更しない。但し、美術、撮影作品の原本の展示権は、原本の所有者が享有する。
著作者が公表していない美術、撮影作品原本の所有権を他人に譲渡し、譲受人が当該原本を展示することは、著作者の公表権に対する侵害とならない。
第21条
著作権は、自然人に帰属する場合、自然人が死亡した後、本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利が本法規定の保護期間内にある場合、法により移転される。
著作権は、法人又は非法人組織に帰属する場合、法人又は非法人組織が変更又は終了された後、本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利が本法規定の保護期間内にある場合、その権利義務を引き受ける法人又は非法人組織が享有し、その権利義務を引き受ける法人又は非法人組織がない場合は国が享有する。
第3節 権利の保護期間
第22条
著作者の署名権、改変権、同一性保持権の保護期間は制限を受けない。
第23条
自然人の作品にてその公表権及び本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定める権利の保護期間は、著作者の生涯及びその死亡後の50年間とし、著作者が死亡した日以降の第50年12月31日までである。共同作品の場合は、最後死亡した著作者が死亡した日以降の第50年12月31日までである。
法人又は非法人組織の作品、著作権(氏名表示権を除く)を法人又は非法人組織が享有する職務著作の場合、その公表権の保護期間は50年であり、作品創作完成以降の第50年12月31日に締め切り、本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定める権利の保護期間は、50年であり、作品の初公表日以降の第50年12月31日に締め切る。但し、作品が創作完成以降の50年以内に公表されなかった場合、本法による保護を受けない。
視聴作品の公表権の保護期間は50年であり、作品創作完成以降の第50年12月31日に締め切り、本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定める権利の保護期間は、50年であり、作品の初公表日以降の第50年12月31日に締め切る。但し、作品の創作完成以降の50年以内に公表されなかった場合、本法による保護を受けない。
第4節 権利の制限
第24条
次の各号に掲げる状況下で著作権を使用する場合、著作権者の許諾を必要とせず、著作権者に対して報酬を支払わないことができる。但し、著作者の氏名又は名称、作品名称を明示しなければならず、且つ当該作品の正常な使用に影響を与えてはならず、不合理的に著作権者の合法的な権益を損なってもならない。
(一)個人的な学習、研究又は鑑賞のために、他人が既に公表した作品を使用する場合
(二)ある作品を紹介及び評論し、又はある問題を説明するために、作品の中に他人が既に公表した作品を適当に引用する場合
(三)ニュースを報道するために、新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアにて既に公表された作品を、やむを得ずに再現又は引用する場合
(四)新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアが、その他新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアにより既に公表された政治、経済、宗教問題に関する時事性文章を登載又は放送する場合。但し、著作権者が登載及び放送を許諾しない旨を表明した場合、この限りではない。
(五)新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアが、公衆集会にて公表された演説を登載又は放送する場合。但し、著作者が登載又は放送を許諾しない旨を表明した場合、この限りではない。ものとする。
(六)学校教室における教学又は科学研究のために、既に公表された作品を翻訳、改編、編集、伝達又は少量に複製し、教学又は科学研究者の使用に供する場合。但し、出版発行してはならない。
(七)国家機関が公務執行のために、既に公表された作品を合理的な範囲内で使用する場合
(八)図書館、公文書館、記念館、博物館、美術館、文化館などが、版本の陳列又は保存のために、当該館が収蔵した作品を複製する場合
(九)既に公表された作品を無償にて実演し、当該実演につき、公衆から費用を徴収せず、実演者にも報酬を支払わず、且つ営利を目的としない場合
(十)公共場所に設置又は陳列されている美術作品に対して、模写、描画、撮影又は録画する場合
(十一)中国の自然人、法人又は非法人組織が既に公表した国家通用言語文字により創作された作品を、少数民族言語作品に翻訳して国内で出版発行する場合
(十二)視覚障碍者などが認知可能なアクセシビリティ方法により前者にすでに既に公表された作品を提供する場合
(十三)法律、行政法規に定めるその他状況
前項の規定は、著作隣接権に対する制限に適用される。
第25条
義務教育及び国の教育計画を実施するために編纂出版される教科書は、著作者の許諾を得ずに、教科書の中に既に公表された作品の一部分又は短編文字作品、音楽作品又は一枚ものとなる美術作品、撮影作品、図形作品を編集することができる。但し、規定に基づき著作権者に報酬を支払い、著作者の氏名又は名称、作品名称を明示しなければならず、且つ著作権者が本法に基づき享有するその他権利を侵害してはならない。
前項の規定は、著作隣接権に対する制限に適用する。
第三章 著作権の使用許諾及び譲渡契約
第26条
他人の作品を使用する場合、著作権者と使用許諾契約を締結しなければならない。本法の規定により許諾を要しない場合、この限りではない。ものとする。
使用許諾契約には、次に掲げる主要内容が含まれる。
(一)使用を許諾する権利の種類
(二)使用を許諾する権利が専有使用権又は非専有使用権である。
(三)使用を許諾する地域的範囲、期間
(四)報酬支払の基準及び方法
(五)違約責任
(六)当事者双方が約定を要すると認めるその他内容
第27条
本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定める権利を譲渡する場合、書面による契約を締結しなければならない。
譲渡契約には、次の各号に掲げる主要内容が含まれる。
(一)作品の名称
(二)譲渡権利の種類、地域的範囲
(三)譲渡対価
(四)譲渡対価の支払日及び方式
(五)違約責任
(六)当事者双方が約定を要すると認めるその他内容
第28条
著作権の中の財産権により質入をする場合、質権設定者と質権者が法により質入登録を行う。
第29条
使用許諾契約及び譲渡契約において、著作権者が許諾又は譲渡を明確にしていない権利につき、著作権者の同意を得ずに、相手当事者は行使してはならない。
第30条
作品使用の報酬支払基準は、当事者が約定することができ、国家著作権主管部門が関係部門と共同で制定した報酬支払基準に基づき報酬を支払うこともできる。当事者の約定が不明確である場合、国家著作権主管部門が関係部門と共同で制定した報酬支払基準に基づき報酬を支払う。
第31条
出版者、実演者、録音録画製作者、ラジオ放送局、テレビ放送局などは、本法の関係規定に基づき他人の作品を使用する場合、著作者の署名権、改変権、同一性保持権及び報酬取得権を侵害してはならない。
第四章 著作隣接権
第1節 図書、新聞・定期刊行物の出版
第32条
図書出版者は、図書を出版する場合、著作権者と出版契約を締結し、且つ報酬を支払わなければならない。
第33条
図書出版者が著作権者より出版のために引き渡された作品に対して、契約の約定に基づき享有する専有出版権は、法律による保護を受け、他人は当該作品を出版してはならない。
第34条
著作権者は契約約定の期限に基づき作品を引き渡さなければならない。図書出版者は契約約定の出版品質、期限に基づき図書を出版しなければならない。
図書出版者は、契約約定の期限通りに出版しない場合、本法第54条の規定に基づき民事責任を負わなければならない。
図書出版者は、作品を増刷又は再版する場合、著作権者に通知し、且つ報酬を支払わなければならない。図書が売り切れた後、図書出版者が増刷又は再版を拒否した場合、著作権者は契約を終了させる権利を有する。
第35条
著作権者は、新聞社、定期刊行物社に投稿する際に、原稿発送日から15日以内に新聞社の掲載決定通知を受領しなかった場合、又は原稿発送日から30日以内に定期刊行物社の掲載決定通知を受領しなかった場合、同一の作品を他の新聞社、定期刊行物社に投稿することができる。但し、当事者双方に別段約定のある場合、この限りではない。
作品掲載後、著作権者が転載又は抜粋編集をしてはならない旨を表明した場合を除き、その他新聞・定期刊行物には、転載、又はダイジェスト、資料として掲載することができる。但し、規定に基づき著作権者に報酬を支払わなければならない。
第36条
図書出版者は、著作権者の許諾を経て、作品につき、改変又は要約することができる。
新聞社、定期刊行物社は、作品につき、文字上の改変及び要約を行うことができる。内容の改変につき、著作権者の許諾を得なければならない。
第37条
出版社は出版した図書、定期刊行物のレイアウト設計を他人が使用することを許諾又は禁止する権利を有する。
前項に定める権利の保護期間は10年であり、当該レイアウト設計を使用した図書、定期刊行物の初出版以降の第10年12月31日に締め切る。
第2節 実演
第38条
他人の作品を利用して実演する場合、実演者は、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。演出手配者が演出を手配する場合、当該手配者が著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第39条
実演者は、その実演につき、次に掲げる権利を享有する。
(一)実演者の身分を表明する権利
(二)実演イメージが歪曲されないよう保護する権利
(三)他人が現場から生放送及びその現場での実演を公開的に伝送することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
(四)他人が録音録画することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
(五)他人がその実演を収録した録音録画製品を複製、発行、貸与することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
(六)他人が情報ネットワークを通じてその実演を公衆に伝達することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
被許諾者は、前項第(三)乃至第(六)号に定める方式で作品を使用する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第40条
出演者が所属出演団体の演出任務を遂行するために行った実演は、職務実演に該当し、出演者は身分を表明する権利と実演イメージ歪曲されないよう保護する権利を享有し、その他権利帰属につき、当事者が約定する。当事者が約定していない、又は約定が不明確である場合、職務実演の権利は、出演団体が享有する。
職務実演の権利が出演者に享有されている場合、出演団体はその業務範囲内で無償にて当該実演を使用することができる。
第41条
本法第38条第一項第(一)、(二)号に定める権利の保護期間は、制限を受けない。
本法第38条第一項第(三)乃至第(六)号に定める権利の保護期間は、50年間であり、当該実演の発生日以降の第50年12月31日に締め切る。
第3節 録音録画
第42条
録音録画製作者は、他人の作品を利用して録音録画製品を製作する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
録音録画製作者は、既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理することにより生じた作品を利用する場合、作品を翻案、翻訳、注釈、整理した著作権者及び原作著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
録音製作者は、他人が既に録音製品として合法的に収録した音楽作品を使用して録音製品を製作する場合、著作権者の許諾を得ることを要しない。但し、規定に基づき報酬を支払わなければならない。著作者が使用を許諾しない旨を表明した場合は使用してはならない。
第43条
録音録画製作者は、録音録画製品を製作する場合、実演者と契約を締結し、且つ報酬を支払わなければならない。
第44条
録音録画製作者は、自ら製作した録音録画製品に対して、他人に複製、発行、貸与、情報ネットワークを通じる公衆への伝達を許諾し、且つ報酬を取得する権利を享有する。当該権利の保護期間は50年であり、当該製品の初製作完成以降の第50年12月31日に締め切る。
被許諾者は、録音録画製品を複製、発行、情報ネットワークを通じる公衆への伝達を行う場合、同時に著作権者及び実演者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。被許諾者は、録音録画製品を貸与する場合、更に実演者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第45条
録音製品を無線又は有線に用いて公開的に伝達する場合、又は音声を伝送する技術設備を通じて、公衆へ公開的に放送する場合、録音製作者に報酬を支払わなければならない。
第4節 ラジオ放送局、テレビ放送局の放送
第46条
ラジオ放送局、テレビ放送局は、他人が公表していない作品を放送する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
ラジオ放送局、テレビ放送局は、他人が既に公表した作品を放送する場合、著作権者の許諾を得ることを要しない。但し、規定に基づき報酬を支払わなければならない。
第47条
ラジオ放送局、テレビ放送局は、次に掲げる該当局の許諾を得ていない行為を禁止する権利を有する。
(一)該当局が放送するラジオ、テレビ番組を有線又は無線の方式で伝送する行為(二)該当局が放送するラジオ、テレビ番組を収録及び複製する行為
(三)該当局が放送するラジオ、テレビ番組を情報ネットワークを通じて公衆へ伝達する行為
ラジオ放送局、テレビ放送局が前項に定める権利を行使する場合、他人が著作権を行使する権利、又は著作隣接権に影響、制限してはならず、又は侵害してはならない。
本条第一項に定める権利の保護期間は50年であり、当該ラジオ、テレビ番組の初放送以降の第50年12月31日に締め切る。
第48条
テレビ放送局は、他人の視聴作品、録画製品を放送する場合、視聴作品の著作権者又は録画製作者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならず、他人の録画製品を放送する場合、更に著作権者の許諾を得て、報酬を支払わなければならない。
第五章 著作権と著作隣接権の保護
第49条
著作権と著作隣接権を保護するために、権利者は技術的措置を取ることができる。
権利者の許諾を得ずに、如何なる組織又は個人は、故意に技術的措置を回避又は破壊してはならず、技術的措置を回避又は破壊するために、関連措置又は部品を製造、輸入し又は公衆へ提供してはならず、故意に他人が技術的措置を回避又は破壊するよう技術的サービスを提供してはならない。但し、法律、行政法規に定める回避可能な状況は、この限りではない。
本法にいう技術的措置とは、権利者の許諾を得ずに、作品、実演、録音録画製品を一見、観賞する行為、又は情報ネットワークを通じて公衆へ作品、実演、録音録画製品を提供する行為を防止、制限するための有効な技術、措置又は部品のことをいう。
第50条
次に掲げる状況は技術的措置を回避することができる。但し、他人へ技術的措置を回避する技術、措置又は部品を提供してはならず、権利者が法により享有するその他権利を侵害してはならない。
(一)学校教室における教学又は科学研究のために、すでに公表された作品を少量に提供し、教学又は科学研究者に供して使用するものの、当該作品が正常なルートを通じて取得することができない場合
(二)営利を目的とするのではなく、視覚障害者などが感知できるアクセシビリティ方式により、前者へ既に公表された作品を提供するものの、当該作品を正常なルートを通じて取得することができない場合
(三)国家機関が行政、監察、司法手続に基づき公務を執行する場合
(四)コンピュータ及びそのシステム又はネットワークにおける安全性能に対してテストを行う場合
(五)暗号化研究又はコンピュータソフトウェアのリバースエンジニアリング研究を行う場合
前項の規定は著作隣接権の制限に適用する。
第51条
権利者の許諾を得ずに、次に掲げる行為をしてはならない。
(一)故意に作品、レイアウト設計、実演、録音録画製品又はラジオ、テレビにおける権利管理情報を削除又は改変する場合。但し、技術上の原因により回避することができない場合、この限りではない。
(二) 作品、レイアウト設計、実演、録音録画製品又はラジオ、テレビにおける権利管理情報が許諾なしに削除又は改変されたことを知ったまたは知り得るのに、依然として公衆へ提供した場合
第52条
次に掲げる権利侵害行為がある場合、情状に応じて侵害停止、影響除去、謝罪、損害賠償などの民事責任を負わなければならない。
(一)著作権者の許諾を得ずに、その作品を公表した場合
(二)共同著作者の許諾を得ずに、他人と共同で創作した作品を自ら単独で創作した作品として公表した場合
(三)創作に参加せずに、個人の名利を謀略取得するために、他人の作品上に署名した場合
(四)他人の作品を歪曲、改ざんした場合
(五)他人の作品を剽窃した場合
(六)著作権者の許諾を得ずに、視聴作品を展示、撮影製作する方法で作品を使用し、又は翻案、翻訳、注釈などの方式で作品を使用した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(七)他人の作品を使用して、報酬を支払うべきなのに、支払わなかった場合
(八)視聴作品、コンピュータソフトウェア、録音録画製品の著作権者、実演者又は録音録画製作者の許諾を得ずに、その作品又は録音録画製品の原本、若しくは複製品を貸与した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(九)出版者の許諾を得ずに、出版された図書、定期刊行物のレイアウト設計を使用した場合
(十)実演者の許諾を得ずに、現場からその実演を生放送し、又は公開的に伝送した場合、若しくはその実演を収録した場合
(十一)著作権及び著作隣接権を侵害したその他行為。
第53条
次に掲げる権利侵害行為をした場合、状況に応じて本法第52条に定める民事責任を負わなければならない。権利侵害行為が同時に公共利益を損なう場合、著作権主管部門が権利侵害行為の停止を命じ、警告を発し、違法所得を没収し、権利侵害複製品及び主に権利侵害複製品の製作に用いた材料、工具、設備などを没収、無害化破棄し、違法経営額が5万元以上の場合、違法経営額の一倍以上五倍以下の罰金を併科し、違法経営額がなく又は違法経営金額を計算し難い、若しくは5万元以下の場合、25万元以下の罰金を併科する。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。
(一)著作権者の許諾を得ずに、その作品を複製、発行、実演、放映、放送、編集し、又は情報ネットワークを通じて公衆へ伝達した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(二)他人が専用出版権を享有する図書を出版した場合
(三)実演者の許諾を得ずに、その実演が収録された録音録画製品を複製、発行し、又は情報ネットワークを通じて公衆へ伝達した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(四)録音録画製作者の許諾を得ずに、前者が製作した録音録画製品を複製、発行し、又は情報ネットワークを通じて公衆へ伝達した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(五)許諾を得ずに、ラジオ、テレビ番組を公衆へ放送、複製し、又は情報ネットワークを通じて伝達した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(六)著作権者又は著作隣接権者の許諾を得ずに、故意に技術的措置を回避又は破壊した場合、故意に主に技術的措置を回避、破壊するために用いる装置又は部品を製造、輸入し、又は他人のために提供し、若しくは故意に他人が技術的措置を回避又は破壊するよう技術的サービスを提供した場合。但し、法律、行政法規に別途規定がある場合、この限りではない。
(七)著作権者又は著作隣接権者の許諾を得ずに、故意に作品、レイアウト設計、実演、録音録画製品又はラジオ、テレビにおける権利管理情報を削除又は改変した場合、作品、レイアウト設計、実演、録音録画製品又はラジオ、テレビにおける権利管理情報が許諾なしに削除又は改変されたことを知った又は知り得るのに、依然として公衆へ提供した場合。但し、法律、行政法規に別途規定がある場合、この限りではない。
(八)他人の署名を詐称する作品を制作、販売した場合。
第54条
著作権又は著作隣接権を侵害した場合、侵害者は権利者が侵害により被った実際損失又は侵害者の違法所得に基づき賠償しなければならない。権利者の実際損失又は侵害者の違法所得を計算し難い場合、当該権利の使用料を参照して賠償させることができる。故意に著作権又は著作隣接権を侵害し、情状が深刻である場合、上述方法に基づき確定された金額の一倍以上五倍以下を賠償させることができる。
権利者の実際損失、侵害者の違法所得、権利使用料を計算し難い場合、人民法院は、権利侵害行為の情状に基づき500元以上500万元以下の賠償を言い渡す。
賠償金額には権利者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的な費用を含めなければならない。
人民法院は、賠償金額を確定するために、権利者が既に必要な立証責任を果たし、権利侵害行為に係る帳簿、資料などが主に侵害者に掌握されている場合、侵害者に対して権利侵害行為に係る帳簿、資料などを提供することを命じることができる。侵害者が提供せず、又は偽帳簿、資料などを提供した場合、人民法院は権利者が主張し、且つ提供した証拠を参照して賠償金額を確定することができる。
人民法院は、著作権紛争案件を審理するとき、権利者の請求に応じて、権利侵害複製品につき、特殊状況を除き、破棄することを命じる。主に権利侵害複製品の製造に用いた材料、工具、設備などにつき、破棄することを命じ、且つ補償を与えず、又は特殊状況下で上述の材料、工具、設備などが商業ルートに進入されることを禁じ、且つ補償を与えないことを命じる。
第55条
著作権主管部門は、著作権侵害と著作隣接権を侵害した疑いのある行為を、調査処理するとき、関連当事者に尋問し、被疑違法行為に係る状況を調査することができる。当事者の被疑違法行為に係る場所と物品を、現場での検査を実施し、被疑違法行為に係る契約、インボイス、帳簿及びその他関連資料を確認、複製し、被疑違法行為に係る場所と物品につき、差押え又は押収することができる。
著作権主管部門は、法により前項に定める職権を行使するとき、当事者は協力、協調しなければならず、拒絶、妨害してはならない。
第56条
著作権者又は著作隣接権者は、他人がその権利に対する侵害行為、その権利実現に対する妨害行為を現に実施し、又は正に実施しようとしていることを証明できる証拠を有し、当該行為を直ちに制止しなければ、その合法的権益が補填し難い損害を被る場合、起訴前に法により人民法院に財産保全、所定の行為の実施、又は所定の行為の禁止を命じるなどの措置を取るよう請求することができる。
第57条
権利侵害行為を制止するために、証拠が滅失するおそれがあり、又は今後取得し難くなる状況下で、著作権者又は著作隣接権者は、起訴前に法により人民法院に証拠保全を請求することができる。
人民法院は、前項の請求を処理する場合、「中華人民共和国民事訴訟法」第93条乃至第96条及び第99条の規定を適用する。
第58条
人民法院は案件を審理する場合、著作権又は著作隣接権の侵害につき、違法所得、権利侵害複製品及び違法活動に用いた財物を没収することができる。
第59条
複製品の出版者及び製作者は、その出版、製作につき合法的に授権されたことを証明できない場合、複製品の発行者又は視聴作品、コンピュータソフトウェア、録音録画製品の複製品の貸与者は、自ら発行、貸与する複製品につき合法的な出所があることを証明できない場合、法的責任を負わなければならない。
訴訟手続において、被疑侵害者が権利侵害責任を負わないと主張する場合、既に権利者の許諾を取得し、又は本法に定める権利者の許諾を得ずに使用できる状況があることを証明できる証拠を提供しなければならない。
第60条
著作権紛争につき、調停を行うことができ、当事者間で合意した仲裁協議書、又は著作権契約の中の仲裁条項に基づき、仲裁機構に仲裁を申し立てることもできる。
当事者間で仲裁協議書が締結されておらず、著作権契約の中にも仲裁条項が締結されていない場合、法院に直接訴訟を提起することができる。
第61条
当事者が契約義務を履行せず、又は契約義務の履行が約定を満たしていないことにより民事責任を負う場合、及び当事者が訴訟権利を行使し、保全請求などを行う場合、関連法律の規定を適用する。
第六章 附 則
第62条
本法にいう著作権とは、即ち版権である。
第63条
本法第2条にいう出版とは、作品の複製、発行を指す。
第64条
コンピュータソフトウェア、情報ネットワーク伝達権の保護方法は、国務院が別途規定する。
第65条
撮影作品について、その公表権、本法第10条第一項第五号乃至第17条に定める権利の保護期間は、2021年6月1日前に既に満了となるが、本法第23条第一項の規定により依然として保護期間内にある場合、保護を延長しない。
第66条
本法に定める著作権者と出版社、実現者、録音録画製作者、ラジオ放送局、テレビ放送局の権利は、本法の施行日に未だ本法に定める保護期間を経過していない場合、本法に基づき保護を受ける。
本法施行前に発生した権利侵害又は契約違反行為につき、権利侵害又は違約意行為の発生時の関連規定に基づき処理する。
第67条
本決定は、2021年6月1日より施行する。