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中国特許出願の実体審査段階における面接について


北京林達劉知識産権代理事務所
                                                                                     
中国では、特許出願の実体審査は原則として書面により行われます。しかし、場合によって、面接または電話インタビューにより、審査官に特許出願の技術等を説明して審査の迅速化を促進することができます。面接や電話インタビューの際の注意事項は、審査基準に詳しく規定されており、特に面接には多くの要件が定められています。一方、電話インタビューは審査基準によると、「あまり重要でなく誤解を生じさせるおそれのない形式的な不備に係る問題の解決にのみ適用される」ものです(しかし、実務の経験によれば、現在、審査官は実質的な問題についての電話インタビューも断らない)。本文では、主に面接について説明します。

中国のほか、日本等の国でも面接手続きがあります。しかし、日本と比較して、中国の面接に関する規定はより厳しいようです。また、プラクティスでは、審査官との面接もなかなか難しいです。そこで、本文では、審査基準の面接に関する規定を紹介するとともに、プラクティスについて説明します。皆様のご参考になれば幸いです。

まず、皆様のご理解の便宜を図るため、日本を比較の対象として、中国の面接に関する規定を下表に簡単に紹介します。
 
ポイント 中国 日本
*1
面接が可能な期間
1回目の拒絶理由通知の発行後 実体審査請求後
*2
面接の要請
出願人が1回目の拒絶理由通知を受け取った後、拒絶理由通知に応答する時またはその後に面接を要請することができる。また、審査官も審査の必要に応じて出願人に面接を要請することができる。 面接の要請は、担当審査官(担当審査官が決まっている場合)、案件の属する審査室の長(担当審査官が決まっていない場合)、代理人、出願人本人や知財部員等から行うことができる。
*3
連絡の手段
出願人からの要請か、審査官からの要請かを問わず、面接は事前に予約すべきである。面接通知書または電話により、面接の内容、日時、場所などを約束する。 電話、ファクシミリ、上申書
*4
面接の内容
特に規定はない。 出願内容に関わるもの
*5
面接の場所
特許庁側で指定した場所に限る。他の場所で行ってはならない。 特許庁庁舎内、または出願人の所在地付近に特許庁側で用意した会場
*6
面接の出席者
審査官側:担当審査官(必要に応じて、経験のある審査官に同席してもらうことができる)。また、審査官補が関わる面接は、当該審査官補を指導する審査官も同席する。
出願人側:担当弁理士、出願人、発明者、出願人が委任した代表者
審査官側:担当審査官(担当審査官が決まっている場合)、案件の属する審査室の長(担当審査官が決まっていない場合)。また、審査官補が関わる案件については、審査官とともに審査官補も同席の上、面接を行う。
出願人側:担当弁理士、代理権を有する者、弁理士事務所員、出願人本人や責任ある応対をなし得る知財部員等
*7
面接記録
審査官は、特許庁の指定用紙を用いて面接記録を1式2部作成する。面接に出席した審査官と出願人及び/または代理人が面接記録に署名または捺印をした後、一部は出願人に渡し、一部は出願の書類ファイルに入れる。
面接記録には、面接の目的、結論、または補正を認めた内容を明記すべきである。
当該面接記録は公衆の閲覧に供するものではない。
審査官は、出願番号、面接日時、審査官名、出願側応対者名、面接の目的及び面接結果を含む面接記録を作成する。
当該面接記録は公衆の閲覧に供することとなる。
 
*8
面接記録の効力
 
 
面接記録は、出願人の正式な書面による応答または補正を代替できるものではない。面接において合意した補正事項についても、出願人は改めて正式な補正書を提出しなければならず、審査官がその補正を代行することはできない。 拒絶理由通知に対する応答期間内に面接を行った場合、出願人は面接記録に記載された面接結果に基づいて、拒絶理由通知に応答する。
面接終了後に、面接記録に記載された面接結果について変化がある場合には、相手に速やかに連絡する。
*9
関連出願の面接
無し 有り


次に、面接で注意すべき項目のプラクティスについて説明します。

*1.面接が可能な期間

中国の審査基準によると、面接は審査官が1回目の拒絶理由通知を出した後に可能になります。中国では、出願人の請求に基づく実体審査が開始されて1回目の拒絶理由通知がまだ出されていない特許出願については、出願人は面接を要請することができません。これに対して、日本では、出願人は審査請求さえすれば、面接を要請することができます。この点について、中国は日本と異なっています。

実務の経験によれば、面接の最も良いタイミングは、拒絶理由通知を受け取った後、応答を行う前です。また、拒絶理由通知に応答した後にも、補正等について審査官に説明するために面接を要請することができます。面接を審査官に受諾してもらうために、事前に電話で審査官に連絡してみるのが好ましいと考えます。

*2.面接の要請

中国の審査基準によると、出願人が面接を要請した場合、面接を受諾するかどうかは審査官が判断します。面接によって、審査に資するという目的を達成できると審査官が判断した場合、審査官は面接を受諾します。そうでない場合、審査官は面接要請を断ることができます。

プラクティスでは、外国の出願人、例えば日本の出願人の場合、面接は通常、出願人の委任した代理人が要請します。外国の出願人が、代理人を通して面接を要請するとともに、面接に出席したいという希望を示した場合、案件の属する審査室の長または部長が、面接を行うかどうかを判断します。したがって、外国の出願人が面接に出席したいと希望する場合、期間延長にならないように、早めに要請する必要があります。審査室の長等が、確かに面接の必要があると判断した場合、面接を許可します。要するに、中国では面接の手続きが厳しく規制されています。

これに対して、日本では、知財部員等も面接を要請することができます。この点についても、中国は日本と異なっています。

*4.面接の内容

面接の内容について、中国の審査基準には明確な規定が記載されていません。しかし、実務の経験によれば、面接において、新規性や進歩性の有無、補正が新規事項の追加に該当するか否か等の技術や法律に関わる様々な問題点を検討することができます。

また、プラクティスでは、審査官や出願人が面接のために新たな書類を提出する場合、その書類を事前に相手に送付すべきです。面接時に出願人が新たな書類を審査官に渡し、審査官が事前に当該書類を受け取っていない場合には、審査官は面接を中断することができます。面接が中断されると、出願人にとって非常に不利です。したがって、面接中断を防ぐために、面接に関わる書類をすべて事前に審査官に送付したほうがよいと思います。

中国とは違い、日本では面接の内容に関する明確な規定があります。日本の『面接ガイドライン』によれば、面接の内容は出願内容に関わるものでなければなりません。

*6.面接の出席者

中国の審査基準によると、出願人が弁理士事務所に委任した場合、面接には弁理士が出席しなければなりません。

プラクティスでは、出願人が弁理士事務所に委任した場合、指定された担当弁理士が面接に出席しなければなりません。出願人が担当弁理士を変更した場合、書誌事項変更の手続きを行う必要があり、書誌事項変更が認められた後、変更後の弁理士が面接に出席します。つまり、指定された担当弁理士以外の弁理士の出席は通常認められません。

また、審査基準には面接の出席者の人数も制限されています。すなわち、面接に出席する出願人または代理人の総数は一般的に2名以下にしなければなりません。この規定に鑑み、面接の効果を確保するために、面接の出席者を予め決定したほうがよいと思います。

この点についても、面接の出席者の資格や人数が特に制限されていない日本とは異なっています。

*9.関連出願の面接

中国では、複数の関連する出願の面接に関する規定はまだありません。中国の実体審査は独任審査制ですので、複数の関連する出願の面接はほとんど不可能です。したがって、関連出願の面接要請はお勧めできません。

これに対して、日本では関連出願の面接も可能です。この点について、中国は日本と明らかに異なっています。

以上のとおり、中国特許出願の実体審査における面接について簡単に紹介しました。面接は、面と向かって話す意思疎通の方法として、審査官に発明の全体の構成や技術の細かい改良及び効果について明瞭かつ分かりやすく説明する上で有効な方法であると思います。面接により、審査官に発明の内容をより正しく、より深く理解してもらい、審査を出願人が望む方向へ進ませることができます。これも、書面による審査と比較した面接のメリットです。しかし、前述の如く、日本等の国とは異なり、中国では出願人が適切なタイミングで面接を要請した場合でも、審査官は必ず受諾するというわけではなく、面接要請が断られることも多々あります。したがって、特に外国の出願人には、面接の利用を慎重に考えるようお勧めします。また、中国は先願主義ですので、審査官との面接における出願人の主張や反論は、出願当初の明細書及びクレームに記載の内容に基づくものでなければなりません。出願当初の記載範囲を超えた内容は審査官に認められませんので、所望の権利範囲を得るためには、当初の出願書類の内容の正確性、完全性及び明確性を確保することが最も基本であり、かつ重要です。また、出願後の審査だけではなく、不服審判や無効審判、さらには審決取消訴訟においても、出願人の主張や反論は出願当初の開示の範囲内で当初の記載に基づくものでなければなりません。
 
(2009)

ホットリンク:北京魏啓学法律事務所
©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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