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著作権行政処罰実施弁法


(2003年7月24日国家版権局令第3号公布)

 

第一章  総則

 

第一条  (立法目的)

著作権行政管理部門の行政処罰行為を規範化し、公民、法人、その他の組織の合法利益を保護するため「中華人民共和国行政処罰法」(以下「行政処罰法」とする)、「中華人民共和国著作権法」とその他の関連法律、行政法規に基づいて、本弁法を制定する。

第二条  (法律執行の主体)

国家版権局及び地方人民政府は著作権行政法律執行権の関連部門(以下「地方著作権行政管理部門」とする)を有し、法律で定めた職権範囲内で、本弁法に示した違法行為について行政処罰を実施する。法律、法規、又は別段の規定がある場合は、その規定に従う。

第三条 (違法行為)

本弁法にいう違法行為とは以下の行為を言う。

(一)著作権法第四十七条に列挙した権利侵害行為で、公共利益に損害をもたらす行為

(二)「コンピュータソフトウェア保護条例」第二十四条に示した権利侵害行為で、公共の利益に損害をもたらす行為

(三)その他の法律、法規、規章で規定した行政処罰を行うべき著作権違法行為

第四条 (処罰の種類)

本弁法で示した違法行為について、著作権行政管理部門は法律に基づいて下記の種類の行政処罰を行うことができる。

(一)権利侵害行為の停止命令

(二)違法所得の没収

(三)権利侵害複製品の没収

(四)罰金

(五)権利侵害複製品を製作するために主として用いた材料、道具、設備等の没収

(六)法律、法規、規章で規定したその他の行政処罰

 

第二章 管轄と適用

第五条 (地域の管轄)

本弁法で示した違法行為は権利侵害行為の実施地、権利侵害の結果発生地、権利侵害複製品の貯蔵地、法律に基づいて封鎖、差押えがなされた場所の著作権行政管理部門が調査、処理の責任を負う。但し法律、行政法規に別段の規定がある場合は除く。

第六条 (級別管轄)

国家版権局は全国的に重大な影響が及ぶ違法行為、及び調査処理されるべきと判断したその他の違法行為について調査、処理を行うことができる。地方著作権行政管理部門は当該管轄区で発生した違法行為について調査、処理の責任を負う。

第七条 (管轄争議と指定管轄)

二以上の地方著作権行政管理部門が同一の違法行為に管轄権を持つ場合、先に立案した著作権行政管理部門が当該違法行為の調査、処理の責任を負う。

地方著作権行政管理部門は管轄権が原因で争議が発生又は管轄が明確ではない場合、争議の双方が協議によって解決する。協議が不成立の場合、共通の一級上級の著作権行政管理部門に報告して管轄の指定を仰ぎ、またその共通の一級上級の著作権行政管理部門も管轄を直接指定することができる。

上級著作権行政管理部門は必要に応じて、下級の著作権行政管理部門が管轄する重大な影響を及ぼす事件を直接処理することができ、また下級の著作権行政管理部門に当該上級著作権行政管理部門で管轄する事件を処理させることもできる。

下級著作権行政管理部門はその管轄する事件の情状が重大、複雑で、上級著作権行政管理部門の処理が必要であると判断した場合、一級上級の著作権行政管理部門に報告して処理を行うことができる。

第八条 (移送)

著作権行政管理部門が発見し、調査、処理を行った違法行為で中国刑法の規定に基づいて犯罪を構成する疑いのあるものは、当該著作権行政管理部門が国務院の「行政法律執行機関による犯罪容疑のある事件の移送に関する規定」に基づいて、事件を司法部門に移送し処理を行う。

第九条 (時効)

著作権行政管理部門は違法行為について行政処罰の時効は2年とし、違法行為が発生した日より起算する。違法行為が連続又は継続状態である場合、行為の終了した日より起算する。権利侵害複製品が引き続き発行されている場合、違法行為が継続しているとみなす。

違法行為が2年以内に発見されない場合、再度行政処罰を行わない。但し法律で別段の規定がある場合を除く。

 

第三章 処罰手続

第十条 (一般手続)

行政処罰法に規定された簡易手続が適用される状況を除いて、著作権行政処罰は行政処罰法に規定された一般手続を適用する。

第十一条 (立案)

著作権行政管理部門は一般手続を適用し、違法行為を調査、処理を行った上、立案しなければならない。

本弁法で示した違法行為は著作権行政管理部門が自ら立案、調査、処理を決定することができ、又は関係部門が移送した資料に基づいて立案、調査、処理を決定することもできる。また、被害者、利害関係者またはその他事情を知る者の投書又は通報によって立案、調査、処理を決定することもできる。

第十二条 (投書)

投書者が本弁法に示した違法行為について立案、取り調べを要求する場合、申請書、権利証明、権利侵害された作品(又は製品)及びその他の証拠を提出しなければならない。

申請書には当事者の姓名(又は名称)、所在地及び取り調べを要求した根拠となる主要事実、理由を説明しなければならない。

投書者が代理人に委任して申請を行った場合、代理人が委任状を提示しなければならない。

第十三条 (受理)

著作権行政管理部門は全ての投書資料を受理した日より15日以内に受理するか否かを決定し投書者に通知しなければならない。受理しない場合は書面にて理由を通知しなければならない。

第十四条 (授受)

立案をする際は立案審査用紙に記入し、投書又は通報した資料を添付しなければならない。上級の著作権行政管理部門より他の部門にて手続きを行う又は関連部門が事件資料、法律執行者の審査報告等の関係資料を移送する場合、当該部門の責任者が立案を批准し且つ指定した2名以上の事件担当者が調査、処理を行う。

事件担当者が当該事件と利害関係にある場合、自ら回避しなければならない。回避しなかった場合、当事者がその回避を要求することができる。事件担当者が回避を行う場合は当該部門の責任者が批准を行う。責任者が回避を行う場合は本級人民政府が批准を行う。

第十五条 (緊急措置)

法律執行者は法律執行の過程において違法行為が正に行おうとしていることを発見し、事態が緊急を要し立案が間に合わない場合、下記の措置をとることができる。

(一)違法行為の停止又は是正を行う。

(二)権利侵害複製品及び主に権利侵害にかかる複製品の制作に用いられた材料、工具、設備等について、法に従い先行して登録、保存を行う。

(三)その他関連する証拠の収集、取寄せ

法律執行者は速やかに関係情況と資料を所属の著作権行政管理部門に報告し、併せて立案の手続きを行う。

第十六条 (証拠収集)

立案後、事件担当者は速やかに調査を行い、且つ法で定めた挙証責任者に著作権行政管理部門が指定した期限内に挙証を行うよう要求しなければならない。

事件担当者が証拠を収集する際、下記の手段を用いて関係証拠の収集、取り寄せを行うことができる。

(一)違法行為を行った疑いのある関係保管書類、帳簿、その他の書面資料の調査、コピー

(二)権利侵害の疑いがある複製品のサンプリングによる証拠収集

(三)権利侵害の疑いがある複製品の先行登録、保存

第十七条 (法律執行の証明書提示)

事件担当者は法律執行において当事者又は関係者に国家版権局又は地方人民政府が発行した行政法律執行証明書を提示しなければならない。

第十八条 (証拠の種類)

事件処理に当たって、収集される証拠とは以下のものを含む。

(一)書面証拠

(二)物的証拠

(三)証人の証言

(四)視聴資料

(五)当事者の陳述

(六)鑑定の結果

(七)検査、実地調査の筆記録

第十九条 (当事者が提出する証拠)

当事者が提出する著作権に関係する原稿、原本、合法出版物、著作権登記証書、認証機構が発行した証明、権利を取得した契約、当事者が自ら又は他人に委任し、定期購入、現場での交易などの方法で権利侵害複製品を購入し取得した実物、領収書等は証拠と成り得る。

第二十条 (目録作成)

事件担当者がサンプリングで証拠を収集し、先行登録にて関係証拠を保存する場合は当事者が同席しなければならない。関係物品についてはその場で一式二部の目録を作成しなければならず、事件担当者と当事者が署名、捺印を行い、当事者と事件担当者がそれぞれ所属する著作権行政管理部門に提出、保存しなければならない。当事者が同席しない又は署名、捺印を拒絶した場合、現場の2名以上の事件担当者が情況を明記しなければならない。

第二十一条 (先行登録、保存の手続き)

事件担当者が先行して関係証拠を登録、保存する場合は当該部門の責任者の批准を経て、且つ当事者に証拠の先行登録、保存通知書を交付しなければならない。当事者又は関係者は証拠の保存期間中に関係証拠を移転したり破損してはならない。

先行登録、保存した証拠は封をし、著作権行政管理部門が封印紙を先行して登録、保存した上、当事者がその場で保存しなければならない。先行登録、保存された証拠を別の場所へ移動する必要がある場合、適当な場所に移動させて保存することができる。事態が緊急を要し、本条規定にある手続きが間に合わない場合、事件担当者は先に処置を行い、事後速やかに手続きを行うこともできる。

第二十二条 (先行登録、保存後の処置)

先行して登録、保存を行った証拠については証拠先行登録、保存通知書を交付した後7日以内に下記の処理決定を行わなければならない。

(一)鑑定が必要な場合は鑑定に出す。

(二)違法事実が成立し、没収されなければならない証拠は、法で定められた手続きに従って没収する。

(三)関係部門に移送し、処理されなければならない証拠は事件を証拠と共に関係部門に移送し、処理を行う。

(四)違法事実が不成立の場合、又は法律に基づいて没収してはならない場合、登録、保存の措置を解除する。

(五)その他関係する法定措置

第二十三条 (調査の委任)

著作権行政管理部門が事件調査の過程でその他の著作権行政管理部門に調査の代理を委任した場合、委任状を提出しなければならない。委任を受けた著作権行政管理部門は積極的に協力をしなければならない。

第二十四条 (専門鑑定)

事件調査の過程で発生した専門的な問題について、著作権行政管理部門は専門機構に委託し又は専門家を招聘して鑑定を行うことができる。

第二十五条 (調査報告)

調査終了後、事件担当者は事件調査報告書を提出し、行為が違法か否かについて説明し、処理意見及び関係事実、理由、根拠を提起し、且つ全ての証拠資料を添付しなければならない。

第二十六条 (当事者への通知)

著作権行政管理部門が行政処罰の決定を実施する前の段階で、当該部門の責任者が行政処罰事前通知書を発行し、当事者に行政処罰の決定事実、理由、根拠を通知し、且つ法律に基づいて陳述権、申立て権、その他の権利を有することを通知しなければならない。

行政処罰事前通知書は、著作権行政管理部門が当事者に直接送達し、当事者は送達証明書に署名、捺印をしなければならない。当事者が署名、受け取りを拒否した場合、送達人員が情況を明記した上、当該部門の責任者に報告を行う。著作権行政管理部門は郵便配達によって当事者に通知することもできる。当事者が見つからない場合、公告によって通知を行うことができる。

第二十七条 (当事者の陳述、申立ての期限)

当事者が陳述、申立てを要求する場合、通知された日から7日以内又は公告が公布された日から30日以内に著作権行政管理部門に陳述、申立て意見及び相応の事実、理由、証拠を提出しなければならない。当事者がこの期間中に陳述権、申立て権を行使しない場合は権利を放棄したものとみなす。

送達の方法で直接通知をする場合、当事者が署名、受理した日を通知日とする。郵便送達にて通知した場合、送達証明書に明記した受理日を通知日とする。

第二十八条 (復審)

事件担当者は当事者の陳述、申し立て意見を充分に聴き取り、当事者が提出した事実、理由、証拠について復審を行い、且つ復審報告を提出しなければならない。

著作権行政管理部門は当事者の申し立てを理由に処罰を加重してはならない。

第二十九条 (処理決定)

著作権行政管理部門の責任者は事件の調査報告及び復審報告の審査を行い、且つ審査結果に基づいて、それぞれ下に述べる処理決定を下さなければならない。

(一)行政処罰を行うべき違法行為は、権利侵害者の過失の程度、権利を侵害した時間の長さ、権利侵害の範囲の大小、損害の結果などの情状に基づいて、行政処罰を行わなければならない。

(二)違法行為が軽微なものである場合は行政処罰を行わなくてもよい。

(三)違法事実が成立しない場合、行政処罰を行わない。

(四)違法行為に犯罪を構成する疑いがある場合、司法部門に移送して処理を行う。

情状が複雑又は重大な違法行為については比較的重い行政処罰に処する。著作権行政管理部門の責任者が全員で検討し、決定を下す。

第三十条 (罰金)

著作権行政管理部門が罰金の決定を下す場合、罰金の金額は「中華人民共和国著作権法実施条例」第三十六条及び「コンピュータソフトウェア保護条例」第二十四条の規定に基づいて確定する。

第三十一条(情状が重大である場合の処罰)

違法行為の情状が重大である場合、著作権行政管理部門は主に権利侵害にかかる複製品の制作に用いられた材料、工具、設備等を没収することができる。

前項にいう「情状が重大である」とは以下の場合を言う。

(一)個人の違法所得額(取得した利益)が五千元以上、単位の違法所得額が三万元以上の場合

(二)個人の違法経営額が三万元以上、単位の違法経営額が十万元以上の場合

(三)個人で取扱った権利侵害複製品が二千冊(枚又はセット)以上、単位で取扱った権利侵害複製品が五千冊(枚又はセット)以上の場合

(四)著作権を侵害したことが原因で、かつて法的責任を追及されたことがあり、且つ著作権を侵害した場合

(五)その他重大な影響を及ぼす又は甚大な被害をもたらす場合

第三十二条 (一事不再理)

当事者の同一の違法行為について、その他の行政機関がすでに罰金を科している場合、著作権行政管理部門は再び罰金を科さない。但し具体的な情状を鑑みて、当該弁法第四条で規定したその他の種類の行政処罰を行うことができる。

第三十三条 (聴聞の基準)

著作権行政管理部門が比較的高額な罰金決定を下す又は法律、行政法規でその他の行政処罰を決定する前に聴聞を行わなければならないことを規定している場合、当事者に聴聞を行う権利があることを通知しなければならない。

前項にいう「比較的高額な罰金」とは個人に対して二万元以上、単位に対しては十万元以上の罰金を科すことを指す。地方の法規、規章で聴聞について別段の規定がある場合は、地方の法規、規章に照らし合わせて処理を行う。

第三十四条 (聴聞)

当事者が聴聞を要求する場合、著作権行政管理部門は行政処罰法第四十二条に規定された手続に従って聴聞を組織する。当事者は聴聞の組織費用の負担は負わない。

第三十五条 (法律文書)

著作権行政管理部門は行政処罰を行うことを決定する場合、行政処罰決定書を製作しなければならない。

著作権行政管理部門が行政処罰を行わないことを決定し、違法行為が軽微なものについては行政処罰を行わない由の通知書を作成し、行政処罰を行わない事実、理由、根拠を説明した上で、当事者に送達しなければならない。違法事実が不成立の場合は調査結果の通知書を作成し、且つ当事者に送達する。

著作権行政管理部門が司法部門に移送して処理を行うことを決定した事件は犯罪容疑事件の移送書を作成し、且つ関係資料及び証拠とともに速やかに管轄権のある司法部門に移送しなければならない。

第三十六条 (送達)

行政処罰決定書は著作権行政管理部門が宣告後、その場で当事者に交付しなければならない。当事者がその場にいない場合は七日以内に当事者に送達しなければならない。

第三十七条 (行政再議の申立て及び行政訴訟の提起)

当事者は国家版権局の行政処罰に不服がある場合、国家版権局に対して行政再議を申し立てることができる。

当事者が地方の著作権行政管理部門の行政処罰に不服がある場合、当該部門の本級人民政府又はその一級上級の著作権行政管理部門に行政再議を申し立てることができる。

当事者が行政処罰又は行政再議の決定に不服がある場合、法律に基づいて行政訴訟を提起することができる。

 

第四章 執行手続

第三十八条 (処罰決定の履行)

当事者は行政処罰決定書を受理した後、行政処罰決定書で規定した期限内に履行しなければならない。

当事者が行政再議を申し立てる又は行政訴訟を提起する場合、行政処罰の執行を停止しない。但し法律で別段の規定がある場合を除く。

第三十九条 (没収物品の処置)

没収した権利侵害複製品は焼却又は被害者が同意した後、その他の適当な方法で処理を行わなければならない。

権利侵害複製品を焼却する際、著作権行政管理部門は二名以上の法律執行人を任命、派遣して焼却過程の監視、焼却結果の照合、焼却記録の作成をしなければならない。

著作権行政管理部門は、没収した、主として権利侵害にかかる複製品の制作に用いられた材料、工具、設備等を法に従って公開競売又は国家の関係規定に従って処理を行う。

第四十条 (代理執行)

上級著作権行政管理部門が行政処罰決定を下す場合、下級の著作権行政管理部門に執行の代理を委任することができる。執行を代理する下級著作権行政管理部門は執行した結果を当該上級著作権行政管理部門に報告しなければならない。

 

第五章 附則

第四十一条 (行政処罰の統計)

著作権行政管理部門は国家の統計法規に基づいて著作権行政処罰統計制度を確立しなければならず、毎年一度、一級上級の著作権行政管理部門に著作権行政処罰の統計の報告を提出しなければならない。

第四十二条 (文書管理、保存)

行政処罰決定又は再議決定の執行が終了した後、著作権行政管理部門は速やかに事件資料を整理、保存しなければならない。

整理、保存する資料は主として「行政処罰決定書、立案審査用紙、事件調査報告、照合報告、再議決定書、聴聞筆記録、聴聞報告、証拠資料、財務処理票及びその他の関係資料」を含む。

第四十三条(法律文書の作成)

本弁法に関係する関係法律文書は国家版権局が確定した関係文書の形式に従って作成しなければならない。

第四十四条 (実施)

本弁法は2003年9月1日より実施する。国家版権局が1997年1月28日に公布した「著作権行政処罰実施弁法」は同時に廃止する。本弁法実施前に公布したその他の関係規定が本弁法に抵触する場合、本弁法に従って執行する。


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©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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